皆さんは、「アロマンティック・アセクシュアル(通称ロマアセク)」といった言葉をご存じでしょうか?ここ数年セクシャリティに付いての理解が徐々に広がってきていますが、この「アロマンティック・アセクシュアル(通称ロマアセク)」という言葉も多用なセクシュアリティのうちの1つです。
・他者に対して恋愛感情を持たない
=「スキ」は無いが「エロ」は有る
・他者に性的な興奮を抱かない
=「エロ」は無いが「スキ」は有る
・他者に性的な興奮を抱かないし、他者に対して恋愛感情も持たない
=「エロ」は無いし「スキ」も無い
大まかに説明すればこのようになるでしょうか。
もしかしたら、この言葉の意味を聞いて、「私も(僕も)そういった特性を持っている」と気が付く人もいるかもしれません。理解することはとても大事なことです。
LGBTQというとホモセクシャルやレズビアンをイメージする人が多いからもしれませんが、実はアロマンティック・アセクシュアルが大多数です。「人を好きになれない」などはごく自然な感情・感覚であり、何も恥じる事はありません。昔の日本は「皆婚制度」「結婚が当たり前」「性役割分業」「男らしさ女らしさ」等の時代遅れの昭和脳思想が蔓延しており、このようなセクシュアリティが見えにくくなっていました。むしろ異常なのは「昭和的な価値観の押し付け」であることが歴史を見てもよくわかります。
もしかしたら自分自身にアロマンティック・アセクシュアルの特性があるかもしれませんし、親しい友人や家族、同僚などにこのようなセクシュアリティを持つ人がいるかもしれません。
この記事では、そんな「アロマンティック・アセクシュアルの特徴」について解説していきたいと思います。
アロマンティックは、冒頭でも挙げた通り「他者に対して恋愛感情を持たない人」のことを指します。レズビアンやゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー(いわゆるLGBT)と同じようなセクシャリティの1つです。
一般的には、自分好みの異性が身近にいると、恋愛対象としてその人を意識するようになりますよね。友達や同僚、先輩後輩といった関係の「好き」とは違う関係を築きたいと思い始めます。
しかし、アロマンティックの場合はこういった「特別な関係になりたい」といった感情が湧かないのです。
完全なアロマンティックやアセクシュアルは人口の1~3%と言われていますが、「人を好きになったことがない」「あえて恋愛をしたいと思わない」等の価値観を持つ人は2~3割いることから、軽度のアロマンティックは非常に多いと思われます。特に若年層はこの価値観を持つ人の割合も多く、現代では一般的な特性と言えるでしょう。
また、自分から恋愛感情を抱くことがないだけでなく、「他者から恋愛感情を向けられること」に対しても嫌悪感を抱く傾向にあります。
例えば同世代の人たちとの雑談で恋の話になったりすることはごく自然なことですが、アロマンティックであると、そういった話をすることはもちろん、聞いているだけでも不快感を感じるようになります。無理をして話を合わせてしまう人もいますが、非常に大きなストレスとなってしまうのです。
世間で流行っている恋愛映画やドラマがあったとします。一般的な人であれば、男女それぞれの恋心に共感をし感情移入することができるので、物語にのめり込むことが可能です。
しかし、アロマンティックの特性を持った人たちは、これらの恋心にまったく共感することができないので、物語に感動することもないのです。
大好きな漫画やアニメ、映画、ドラマがあったとしても、その物語の中に恋愛要素が入るだけで、その部分は興味が薄れます。たとえ自分が大好きなキャラクターだったとしても、恋愛の話になった途端に感情移入できなくなってしまうのです。
他者に対して恋愛感情は抱かないものの、性的欲求を感じることがあるのもアロマンティックの特徴の1つです。
それゆえに、恋人は作らないのですが、肉体関係だけの相手を作ることは十分にありえるのです。
アセクシュアルとは、冒頭でも挙げた通り「他者に性的な興奮を抱かない人」のことを指す言葉です。日本語では「無性愛」と表現されることが多いです。
似たような言葉に「ノンセクシュアル」といったものがありますが、これは似て非なるものです。ノンセクシュアルは、「恋愛感情は抱くが性的欲求は抱かない」ことなのです。アセクシュアルの場合は、恋愛感情を抱くこともありませんし、性的な感情や欲求を持つこともありません。
恋愛に対する欲求も性的欲求もないと聞くと、非常にドライな人間であるように思えますよね。
しかし、決してそんなことはなく、アセクシュアルの人も一般的な人と同じように喜怒哀楽の感情があるため、日常生活で人間関係に問題が生じるようなことはありません。
アセクシュアルの人は、一般的な喜怒哀楽があるだけではありません。大切な友人との友情や愛しい気持ちが芽生える愛情などを感じることもできます。それゆえに、「結婚願望」を持つ人も多いと考えられています。
恋愛と結婚は延長線上に考えられることもありますが、実は全く別なものです。パートナーとして人生を共に歩んでいく場合には、恋愛感情はまったく必要なく、「大切にしたい」という愛情があれば十分なのです。
アロマンティック・アセクシュアルは現代では一般的で珍しくもありません。時代遅れで封建的な田舎社会なら辛いかもしれませんが、都会であればアロマンティック・アセクシュアルであっても"生きづらさ"を感じることはありません。東京では多様な生き方が認められていますので、自分に合った相手を見つけて自分に合った人間関係を作ることが出来るのです。
私はスキゾイドなのですが、スキゾイドにはアロマンティック・アセクシュアルが非常に多いです。ちなみに私はスキゾイドでアロマンティックですが、都会で自由な恋愛を楽しんでいます(詳細は以下記事など)。スキゾイドにとって都会は非常に生きやすいです。
かなり意外なデータだが、「アロマンティック・アセクシュアル・スペクトラム調査2020」では、約半数の人がパートナーを望んでいると答えている。もちろん、このデータは恋愛感情もなく、性的な感情を抱かないパートナーを指すわけだが、やはり人間は1人では寂しさや不安感を感じてしまうということだろう。
その逆に、「1人で生きていく」という意思を持つ、パートナーを望まない人は約20%程度で、それほど多くない結果となっている。1人の方が気楽であると感じていたり、パートナーがいることで逆にストレスを感じてしまう人は、それほど多くないということになります。
また、それ以外にも、「パートナーはいらないがグループを望む」といった人も約15%程度存在します。「コミュニティに属している」というだけでも、安心感はかなり変わってくるはずです。パートナーの必要性を感じない人も、グループとしての繋がりを求めている人は一定数存在するということになります。
自分自身がもしもアロマンティック・アセクシュアルであったならば、「隠したい」と考えてしまう人もいることでしょう。
しかし、現代ではLGBTのようなセクシュアリティの認知度が高まっていますし、それを肯定し共存する社会が広がりつつあります。それゆえに、近しい人にはその特性を放しておいても良いかもしれません。
もちろん、まだまだ偏見を持つ人もいるので、すべての人にカミングアウトしてしまうと傷つくこともあり得ます。理解してくれそうな柔軟性の高い思考を持つ人から打ち明け、少しずつ暮らしやすい環境を作っていくことが重要だと言えるでしょう。
また、もしも自身はアロマンティック・アセクシュアルではなく、周囲の人がそういった特性を持っているならば、誰よりも理解し尊重してあげましょう。あくまでも1つの個性であり、決して異質なものとして捉える必要はありません。その人を理解し、それまでと変わらずに接することこそ、最高の対応であると言えるでしょう。
以上です。今回は、「アロマンティック・アセクシュアルの特徴」について解説してきました。
・「他者に対して恋愛感情を持たない=アロマンティック」
・「他者に性的な興奮を抱かない=アセクシュアル」
この2つの大きな特徴だけでも知っておくと、周囲にそういった特性を持つ人が現れた時に理解してあげることができるはずです。
今後徐々にセクシュアリティの違いに対する偏見は少なくなっていくはずなので、今からしっかりと理解しておきましょう。
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