地方が衰退したのは自業自得だ。厳しい言い方に聞こえるだろうが、経緯を追えばこの結論以外に出しようがない。
金は入っていた。地方交付税、補助金、公共事業、地方創生交付金、そして偏在是正による年1.5兆円・累計10.8兆円。
これだけ注ぎ込んで、人口減少は一度も止まらなかった。金を注いでも止まらなかったなら、原因は金ではない。
では何か。変化を潰し続けたことだ。
大型店の出店に反対し、ネット販売に手を出さず、後継者に口を出し、よそ者を警戒し、新しい店には「地元の付き合い」を要求し、シャッターを閉めたまま土地だけ手放さない。そして客が来なくなると「大型店のせいだ」「ネット通販のせいだ」と言う。
誰も邪魔していない。自分で選んで、その結果を受け取っただけだ。この記事では、その30年分の決算書を開く。
📊 偏在是正による移転:年1.5兆円・累計10.8兆円
📊 地方交付税・補助金・公共事業を継続的に投入
📊 結果:人口減少は一度も止まっていない
📊 農業就業者の平均年齢68歳超/耕作放棄地は拡大
📊 商店街の空き店舗率は高止まりのまま
検索で「商店街衰退 自業自得」が出てくるのは、多くの人が同じ光景を見てきたからだ。順に検証する。
かつて大規模小売店舗法により、大型店の出店には地元商業者の意見が実質的に反映される仕組みがあった。売場面積、閉店時刻、休業日数まで調整の対象になった。
つまり、競争相手の参入を法的に抑えられる期間が与えられていた。その保護期間に何をしたか。
何もしなかった。駐車場も作らず、営業時間も変えず、品揃えも変えず、決済手段も増やさなかった。
保護が外れて競争が始まると、あっという間に客を失った。保護されていた期間に競争力をつけていなかったからだ。
これは「大型店にやられた」のではない。「準備しなかった」のである。
| できたはずのこと | 実際の対応 | 結果 |
|---|---|---|
| 駐車場の整備 | 各店が土地を手放さず進まない | 車社会に対応できず |
| 営業時間の延長 | 早じまい・不定休を維持 | 勤め人が使えない |
| ネット販売 | 「うちは対面が信条」 | 商圏が広がらない |
| キャッシュレス | 「手数料が惜しい」 | 若年層が寄り付かない |
| 新規出店者の受け入れ | 「地元の付き合い」を要求 | 新しい店が来ない |
| 空き店舗の賃貸 | 閉めたまま貸さない | シャッター街が固定化 |
| 事業の売却・承継 | 身内以外に渡さない | 廃業して終わる |
注:いずれも外部要因ではなく、当事者の選択によるもの
シャッター街の本当の原因はこれである。
店をやめたのに、土地と建物は手放さない。貸しもしない。年金と持ち家があるので、空けておいても生活に困らないからだ。
結果、新しく店を開きたい人が物件を借りられない。やる気のある人間が入ってこられない構造を、当事者が作っている。
これを自業自得と呼ばずに何と呼ぶのか。
検索語として「地方 衰退 老害」が定着している。感情的な言葉だが、指している構造は正確だ。
地方の意思決定は、自治会、商工会、農協、漁協、市町村議会を通じて行われる。
これらの構成員は概して高齢だ。そして高齢者にとって、変化は純粋なコストである。
これは悪意ではない。合理的な判断だ。残り時間が短い人にとって、10年後に実る改革に賛成する動機がない。むしろ現状が壊れるリスクだけを負う。
個々の判断が合理的でも、合成された結果は地域の死である。
10年後の利益を評価する人が意思決定の場にいなければ、10年後に効く決定は永久に行われない。
「若い者は黙っていろ」ではない。もっと巧妙だ。
「まず地域に溶け込んでから」「順番がある」「やり方を変えるのはまだ早い」——時間を要求される。そして提案は棚上げされ、当人は疲れて出ていく。
拒否ではなく遅延によって、変化は殺される。誰も反対したことにならないので、誰も責任を取らない。
変化が起きない地域から、変化を起こしたい人間が消える。残るのは、変化を望まない人だけだ。
そして次の世代の意思決定層も、また変化を望まない人で構成される。これが再生産のループである。
衰退そのものは、実は最大の問題ではない。人口が減れば経済規模が縮むのは当然だからだ。
自力で縮むなら、それは自然な適応だ。誰も文句を言わない。
問題は、縮小を受け入れずに、東京圏の税金で現状を維持しようとしていることである。年1.5兆円、累計10.8兆円。
自分の選択の結果を、他人に払わせている。これが「タカり」と呼ばれる理由だ。
農地は農地法で企業が使えず、海は漁業権で企業が使えず、空き店舗は貸してもらえない。資源はあるのに、使わせない。
使わないなら手放せ。手放さないなら使え。どちらもしないのが最悪である。
地方には可能性が残っている。広い土地、安い不動産、豊かな一次産業資源、そして観光需要。
だが、それらを活用しようとする外部の人間を、地域が拒否する。そして「若者が来ない」と嘆く。
| 資源 | 活用できれば | 塞いでいるもの |
|---|---|---|
| 農地 | 大規模化・輸出産業化 | 農地法と農業委員会 |
| 海 | 養殖の産業化 | 漁業権と漁協 |
| 空き店舗 | 新規開業の受け皿 | 貸さない所有者 |
| 空き家 | 移住・宿泊事業 | 売らない相続人 |
| 観光資源 | 宿泊・体験の収益化 | 民泊規制と地元調整 |
| 安い土地 | データセンター・工場 | 地元合意という関門 |
注:資源の不足ではなく、利用を妨げる制度と慣行が問題である
見ての通り、地方に足りないのは資源ではない。資源を使わせない仕組みだけが過剰にある。
強い言葉なので、根拠を明示しておく。自業自得と言えるには、3つの条件が必要だ。
① 選択の機会があったか → あった(保護期間・補助金・時間)
② 結果を予見できたか → できた(30年前から警告されていた)
③ 他に原因はないか → 金は流入し続けた。外因は乏しい
大型店の出店規制で保護された期間があり、補助金があり、時間があった。その間に何を変えたか。
人口減少も、車社会化も、ネット通販の普及も、すべて何十年も前から予測されていた。不意打ちではない。
これが決定的だ。「東京に吸い上げられた」なら、金の流れがそうなっているはずだ。
だが実際は逆で、金は東京から地方へ流れ続けた。それでも衰退した。外因では説明がつかない。
公平を期すと、衰退していない地方都市も存在する。
共通点は明確だ。よそ者を受け入れ、規制を緩め、意思決定を若返らせ、外部資本を歓迎した地域である。
同じ条件下で結果が分かれるなら、原因は条件ではなく選択の側にある。これが自業自得と言い切れる最大の根拠だ。
30年分の決算書はこうなっている。
収入:東京圏からの財政移転、年1.5兆円・累計10.8兆円。加えて地方交付税・補助金・公共事業。
支出:現状維持。
結果:人口減少は止まらず、商店街はシャッター街になり、農地は放棄され、若者と女性は流出した。
① 金は入っていた。それでも止まらなかった
② 商店街は保護期間に何も準備しなかった
③ 最悪なのは空き店舗を閉めたまま貸さないこと
④ 高齢化した意思決定層にとって変化は純粋なコストだ
⑤ 変化は拒否ではなく遅延によって殺される
⑥ 同条件で結果が分かれた以上、原因は選択の側にある
誰も邪魔していない。むしろ金まで渡していた。その上で変化を全部潰したのだから、自業自得という以外に言いようがない。
この記事のテーマについて、検索でよく問われる疑問に答えておく。
自業自得の成立条件3つをすべて満たしています。①選択の機会があった(保護期間・補助金・時間)、②結果を予見できた(人口減少も車社会化も予測済み)、③外因では説明できない(金は東京から流入し続けた)。
大規模小売店舗法により競争相手の参入を抑えられる保護期間があったにもかかわらず、駐車場も営業時間も品揃えも決済手段も変えなかったためです。保護が外れた瞬間に負けたのは、準備しなかった結果です。
店をやめた所有者が、土地と建物を手放さず貸しもしないことです。年金と持ち家があるため空けておいても困りません。結果、新しく店を開きたい人が物件を借りられなくなっています。
感情的な言葉ですが構造は正確です。残り時間が短い層にとって、10年後に実る改革は純粋なコストです。個々の判断は合理的ですが、10年後を評価する人が意思決定の場にいなければ、10年後に効く決定は永久に行われません。
衰退そのものではありません。①他人(東京圏)の税金で現状を延命していること、②農地・海・空き店舗などの資源を使わせないこと、③改革しようとする外部の人間を拒否すること——の3点です。
あります。そしてそれが自業自得と言える最大の根拠です。よそ者を受け入れ、規制を緩め、意思決定を若返らせ、外部資本を歓迎した地域は維持できています。同じ条件で結果が分かれるなら、原因は条件ではなく選択の側にあります。
地方衰退の原因を検証してきた。要点をまとめる。
① 金は入っていた。年1.5兆円・累計10.8兆円。それでも止まらなかった
② 商店街は保護期間に何も準備しなかった
③ シャッター街の原因は閉めたまま貸さない所有者だ
④ 高齢化した意思決定層にとって変化はコストしかない
⑤ 変化は反対ではなく遅延によって殺される
⑥ 同条件で結果が分かれた以上、原因は選択の側にある
資源が足りないのではない。資源を使わせない仕組みだけが過剰にある。使わないなら手放せ。手放さないなら使え。どちらもしないのが最悪だ。
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