10年ほど前から、「事実婚」といった言葉をよく聞くようになりましたよね。時代の変化と共に価値観は変化していきますが、結婚についての価値観も大きく変わってきています。
結婚願望のない若者が増え、パートナーを作らずに1人で生きていく人も増えています。
そして、実際にはパートナーとして暮らしているにも関わらず、法律的な婚姻手続きをしないものの共同で生活を営む事実婚をするカップルも非常に多くなってきているのです。
現代で事実婚が急速に増加する理由は簡単で、法律婚が完全に時代遅れになり、現代の多様なライフスタイルに対応できていないからです。
実は既に世界では結婚しないで子供を作る「婚外子」の存在が当たり前になっています。「皆が結婚するものだ」といった規範がある異常な国は、既に世界で日本と韓国とトルコくらいになっているのです。
6人中6人が「選択的夫婦別姓にしてくれ~」と言っており「選挙で自民党が買ったから諦めて法律婚した」とか「選択的夫婦別姓が実現されると思って2年待たせて諦めた」「諦められないので公正証書巻いて事実婚にした」というコメントがあり、いや早くやった方が婚姻数増えるのではと思いました。 https://t.co/kkborPKujz
— ハヤカワ五味 (@hayakawagomi) January 29, 2023
「デキ婚」じゃなくて、「事実婚」ってするの新しいな。急に妊娠しても困らないし、名字も変えなくていいし、結婚式もあげなくていいし、結婚の報告もいらないから、今後流行りそう。
— お侍さん (@ZanEngineer) January 16, 2024
>宮沢氷魚、黒島結菜と“事実婚”発表「生涯のパートナー」第1子妊娠も発表 ちむどんどん共演 pic.twitter.com/3WMSdcz35h
筆者も事実婚を前提とした婚活を実施しています。
しかし、まだまだ価値観としては新しい生き方であるため、詳しくわからない人もいるはずです。
「なんとなくそういった愛の形に憧れている」といった人は、将来のためにしっかりと理解しておきたいところです。
この記事では、そんな「事実婚と法律婚との違いやメリット・デメリット」について解説していきたいと思います。
事実婚(契約結婚)とは、冒頭でも挙げた通り、「婚姻手続きを行わずに共同で生活を営む夫婦同然のパートナー関係」のことを指します。
婚姻手続きを行っていないため、法律的には夫婦として認められていません。
似たような言葉に、「内縁」といったものがありますが、これは事実婚とは似て非なるものです。内縁は、「やむを得ない事情があり婚姻手続きができない状態」です。
これに対して事実婚は、お互い自らの意思で婚姻届けを提出しない状態となります。
芸能人や著名人などで事実婚を公表する人はいますが、一般社会ではあまり好評する人は多くありません。
予測値としては、令和3年に内閣府が行った「各種意識調査」で「成人の人口の約2~3%程度」は存在しているのではないかとされています。
事実婚を選ぶカップルが増えているということは、それだけ現代人にとって大きなメリットを感じることが多いということでもあるはずです。考えられる事実婚のメリットをいくつか挙げてみましょう。
某俳優カップルが事実婚で妊娠されているらしいが、個人的にはとても良いと思う。
— デー子 (@deco358) January 16, 2024
ただでさえ離婚するのが大変なのに、共同親権になんてなったら、結婚したが最後、酷い相手でも離れられなくなってしまうので籍入れない方がいいです。…
事実婚を無責任って言ってる人多くてビビる。今、令和ですよ。思考のアップデートはよ。
— ナシコ (@man_maru1122) January 16, 2024
本人達が公表までしてるんだから、他人の家族を無責任とか言ってるあなたより、何万倍も責任ある決断だと思いますが。 https://t.co/zNpFrPh8O7
事実婚は婚姻届けを提出しないので、当然のことながら姓も変わることがありません。
姓が変わるのは90%以上が女性だと言われていますが、これは男女平等の観点から見てもあまり公平ではないと感じている人は多いでしょう。欧米諸国の先進国で夫婦同姓を義務としているのは日本のみであり、時代の変化に付いていけていないとも言えます。
事実婚であれば、姓の変更をしなくても良いので、精神的にも普段の生活的にも負担がありません。入籍した直後は、運転免許証やマイナンバーカード、銀行口座、クレジットカード、携帯電話など多くの変更手続きが必要となります。
また、一度結婚し姓が変わった後、離婚をして元の姓に戻ると、周囲に離婚したことが分かってしまうのも大きな問題となります。
事実婚で姓を変えずに暮らしていれば、そういったリスクもないのです。
生涯共にいようと決めた2人も、環境の変化や価値観の変化などによって「別れ」を選択することもありえますよね。
結婚をしてからそのような状況になれば、離婚届に署名捺印をして役所に提出し、「離婚」ということになります。世間一般的に言うところの「バツイチ」となります。
しかし、事実婚の場合には、もしも別れたとしても戸籍上は元から別のままなので、離婚とはなりません。当然「離婚歴」を聞かれたとしても「ないです」と答えられますし、それを証明することも可能となるわけです。
結婚しない選択をしている人の中には、「家族ぐるみの関係になるのがわずらわしいから」といった人もいるはずです。
日本の場合、結婚をする2人の問題ではなく、お互いの親族との関りを持たなければならないケースも多いのです。「関わりたくない」と思っていても、古い世代の人たちは許してはくれないでしょう。
しかし、事実婚であれば、戸籍上一緒になっているわけではないので、表立ってお互いの親族同士が関わる必要もなくなります。
当事者同士も、相手方の親や兄弟と必要以上に距離を縮めることもなく暮らしていくことができます。
事実婚は、前述したようなメリットを得られる反面、デメリットもいくつかあります。それぞれ挙げてみましょう。
「私たちは夫婦です」と言ったとしても、それを証明するものがないのが事実婚の1つ目のデメリットです。
例えば意識を失うほどの病気や事故による怪我をした際に、病院で同意書にサインをするケースがあったとします。
しかし、残念ながら事実婚の場合には夫婦である証明ができず、戸籍上は他人となるため、同意書にサインをすることができないのです。さらに、サインができないばかりか、医師からの症状の説明すら聞くことができません。そして、もしも帰らぬ人となった際に、遺体の引き取りもできないのです。
事実婚をした2人に子どもが生まれたとしましょう。非常にめでたいことですが、2人の子どもは「非嫡出子」となります。非嫡出子は、「婚姻届を出していない男女の間に生まれた子ども」のことで、2人で親権を持つことができないのです。
子どもは母親の戸籍に入るため、親権も必然的に母親となります。つまり、法律上は父親に親権はないということになるわけです。
もしも将来事実婚を解消してしまった時は、母親は父親に養育費を請求することもできなくなります。
父親としては、「自分には親権がない」という精神的な辛さを感じますし、母親としては、「もしものことがあったら養育費がもらえない」といった不安を抱えることとなるのです。
夫婦になると、様々な「控除」を受けることができますよね。
所得税の配偶者控除や配偶者特別控除などがその代表的な優遇措置でしょう。通常の結婚では、これらの優遇措置をフル活用し、支出を抑えることが可能ですが、事実婚の場合にはそうはいきません。
戸籍上は夫婦ではないので、こうした優遇措置を受けることができないのです。
意識を失うほどの病気や怪我の際の同意書へのサインもそうですが、生命保険に関しても事実婚はデメリットがあります。
夫婦の場合、保険金の受取人を配偶者にすることがほとんどかと思いますが、事実婚の場合には認められないことが多くなります。
保険によっては、定められた規定をクリアしていれば事実婚であっても受け取り可能であるケースがありますが、さほど多くはないでしょう。
また、遺産相続についても同じく事実婚の場合には遺産相続できません。
今回は、「事実婚と法律婚との違いやメリット・デメリット」について解説してきました。
事実婚は、「夫婦別姓で暮らせる」「パートナー関係を解消しても戸籍上は離婚にならない」「パートナーの親族との距離を保てる」といったメリットがある一方で、いくつものデメリットがあるのも確かです。それらのデメリットを良く理解し、それらを2人が受け入れることができるのならば、事実婚という選択をするのも悪くはないはずです。
現行の結婚制度は時代遅れですが、当然ライフスタイルの変化に合わせて制度も変わっていくと考えられるので、それまで待つというのも手です(日本は変化への対応が遅いのでかなり厳しいとは思います)。
もしも事実婚の形を希望するならば、これらのメリットデメリットを2人でしっかりと話し合い、確認した上で決断するようにしましょう。
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