事実婚のメリット

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事実婚を選ぶカップルが増えているということは、それだけ現代人にとって大きなメリットを感じることが多いということでもあるはずです。考えられる事実婚のメリットをいくつか挙げてみましょう。

 

 

事実婚の主なメリット(3つ)

① 夫婦別姓で暮らせる

② パートナー関係を解消しても戸籍上は離婚にならない

③ パートナーの親族との距離を保てる

 

①夫婦別姓で暮らせる

事実婚は婚姻届けを提出しないので、当然のことながら姓も変わることがありません。姓が変わるのは90%以上が女性だと言われていますが、これは男女平等の観点から見てもあまり公平ではないと感じている人は多いでしょう。欧米諸国の先進国で夫婦同姓を義務としているのは日本のみであり、時代の変化に付いていけていないとも言えます。

 

夫婦別姓のメリット
項目 説明・メリット
精神的負担の軽減 姓の変更をしなくても良いので、精神的にも負担がありません
手続きの負担がない 入籍した直後は、運転免許証やマイナンバーカード、銀行口座、クレジットカード、携帯電話など多くの変更手続きが必要となりますが、事実婚では不要
離婚時のリスク回避 一度結婚し姓が変わった後、離婚をして元の姓に戻ると、周囲に離婚したことが分かってしまうが、事実婚ではそのリスクがない
男女平等の観点 姓が変わるのは90%以上が女性で、男女平等の観点から見ても公平ではない、欧米諸国の先進国で夫婦同姓を義務としているのは日本のみ

 

事実婚であれば、姓の変更をしなくても良いので、精神的にも普段の生活的にも負担がありません。入籍した直後は、運転免許証やマイナンバーカード、銀行口座、クレジットカード、携帯電話など多くの変更手続きが必要となります。また、一度結婚し姓が変わった後、離婚をして元の姓に戻ると、周囲に離婚したことが分かってしまうのも大きな問題となります。事実婚で姓を変えずに暮らしていれば、そういったリスクもないのです。

 

②パートナー関係を解消しても戸籍上は離婚にならない

生涯共にいようと決めた2人も、環境の変化や価値観の変化などによって「別れ」を選択することもありえますよね。結婚をしてからそのような状況になれば、離婚届に署名捺印をして役所に提出し、「離婚」ということになります。世間一般的に言うところの「バツイチ」となります。

 

事実婚と法律婚の別れ方の違い
項目 法律婚(結婚) 事実婚
別れの手続き 離婚届に署名捺印をして役所に提出、戸籍に「離婚」と記載される 戸籍上は元から別のままなので、離婚とはならない、特別な手続きは不要
離婚歴 「バツイチ」となる、離婚歴が残る 離婚歴はない、「離婚歴」を聞かれたとしても「ないです」と答えられる、証明も可能
社会的な影響 離婚歴が残り、社会的な偏見を受ける可能性がある 離婚歴が残らない、社会的な偏見を受けにくい

 

しかし、事実婚の場合には、もしも別れたとしても戸籍上は元から別のままなので、離婚とはなりません。当然「離婚歴」を聞かれたとしても「ないです」と答えられますし、それを証明することも可能となるわけです。これは、将来の再婚や社会的な立場を考える上で、非常に大きなメリットと言えるでしょう。

 

③パートナーの親族との距離を保てる

結婚しない選択をしている人の中には、「家族ぐるみの関係になるのがわずらわしいから」といった人もいるはずです。日本の場合、結婚をする2人の問題ではなく、お互いの親族との関りを持たなければならないケースも多いのです。「関わりたくない」と思っていても、古い世代の人たちは許してはくれないでしょう。

 

事実婚と法律婚の親族関係の違い
項目 法律婚(結婚) 事実婚
親族との関係 お互いの親族との関りを持たなければならない、家族ぐるみの関係になる 戸籍上一緒になっているわけではないので、表立ってお互いの親族同士が関わる必要もない
距離の取り方 「関わりたくない」と思っていても、古い世代の人たちは許してはくれない 当事者同士も、相手方の親や兄弟と必要以上に距離を縮めることもなく暮らしていくことができる
精神的負担 親族との関係を維持する必要があり、精神的負担が大きい 親族との関係を維持する必要がなく、精神的負担が少ない

 

しかし、事実婚であれば、戸籍上一緒になっているわけではないので、表立ってお互いの親族同士が関わる必要もなくなります。当事者同士も、相手方の親や兄弟と必要以上に距離を縮めることもなく暮らしていくことができます。これは、親族との関係にストレスを感じる人にとって、非常に大きなメリットと言えるでしょう。

 

事実婚のデメリット

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事実婚は、前述したようなメリットを得られる反面、デメリットもいくつかあります。それぞれ挙げてみましょう。

 

事実婚の主なデメリット(4つ)

① 夫婦関係である証明がない

② 法律上父親に親権がない

③ 配偶者特別控除など税金面での優遇措置が受けられない

④ 生命保険や遺産相続が難しくなる

 

①夫婦関係である証明がない

「私たちは夫婦です」と言ったとしても、それを証明するものがないのが事実婚の1つ目のデメリットです。例えば意識を失うほどの病気や事故による怪我をした際に、病院で同意書にサインをするケースがあったとします。

 

夫婦関係の証明が必要な場面
場面 法律婚(結婚) 事実婚
医療同意書へのサイン 配偶者として同意書にサインができる 夫婦である証明ができず、戸籍上は他人となるため、同意書にサインをすることができない
医師からの症状説明 配偶者として医師からの症状の説明を聞くことができる サインができないばかりか、医師からの症状の説明すら聞くことができない
遺体の引き取り 配偶者として遺体の引き取りができる もしも帰らぬ人となった際に、遺体の引き取りもできない

 

しかし、残念ながら事実婚の場合には夫婦である証明ができず、戸籍上は他人となるため、同意書にサインをすることができないのです。さらに、サインができないばかりか、医師からの症状の説明すら聞くことができません。そして、もしも帰らぬ人となった際に、遺体の引き取りもできないのです。これは、緊急時や最悪の事態に直面した際に、非常に大きな問題となる可能性があります。

 

②法律上父親に親権がない

事実婚をした2人に子どもが生まれたとしましょう。非常にめでたいことですが、2人の子どもは「非嫡出子」となります。非嫡出子は、「婚姻届を出していない男女の間に生まれた子ども」のことで、2人で親権を持つことができないのです。

 

事実婚と法律婚の親権の違い
項目 法律婚(結婚) 事実婚
子どもの法的地位 嫡出子(婚姻関係にある男女の間に生まれた子ども) 非嫡出子(婚姻届を出していない男女の間に生まれた子ども)
親権 両親で親権を持つことができる 2人で親権を持つことができない、子どもは母親の戸籍に入るため、親権も必然的に母親となる、法律上は父親に親権はない
養育費 離婚時、養育費を請求することができる 事実婚を解消してしまった時は、母親は父親に養育費を請求することもできなくなる
精神的影響 両親が平等に親権を持つことができる 父親としては「自分には親権がない」という精神的な辛さを感じる、母親としては「もしものことがあったら養育費がもらえない」といった不安を抱える

 

子どもは母親の戸籍に入るため、親権も必然的に母親となります。つまり、法律上は父親に親権はないということになるわけです。もしも将来事実婚を解消してしまった時は、母親は父親に養育費を請求することもできなくなります。父親としては、「自分には親権がない」という精神的な辛さを感じますし、母親としては、「もしものことがあったら養育費がもらえない」といった不安を抱えることとなるのです。これは、子どもがいる場合の事実婚において、非常に重要なデメリットと言えるでしょう。

 

③配偶者特別控除など税金面での優遇措置が受けられない

夫婦になると、様々な「控除」を受けることができますよね。所得税の配偶者控除や配偶者特別控除などがその代表的な優遇措置でしょう。通常の結婚では、これらの優遇措置をフル活用し、支出を抑えることが可能ですが、事実婚の場合にはそうはいきません。

 

事実婚と法律婚の税金面での違い
項目 法律婚(結婚) 事実婚
配偶者控除 所得税の配偶者控除を受けることができる(年間38万円の控除) 戸籍上は夫婦ではないので、配偶者控除を受けることができない
配偶者特別控除 所得税の配偶者特別控除を受けることができる(年間最大38万円の控除) 戸籍上は夫婦ではないので、配偶者特別控除を受けることができない
その他の控除 様々な控除をフル活用し、支出を抑えることが可能 戸籍上は夫婦ではないので、こうした優遇措置を受けることができない

 

戸籍上は夫婦ではないので、こうした優遇措置を受けることができないのです。これは、長期的に見ると、税金面での負担が大きくなる可能性があるということを意味します。特に、配偶者の年収が低い場合や、配偶者が専業主婦(主夫)の場合には、このデメリットがより顕著に現れるでしょう。

 

④生命保険や遺産相続が難しくなる

意識を失うほどの病気や怪我の際の同意書へのサインもそうですが、生命保険に関しても事実婚はデメリットがあります。夫婦の場合、保険金の受取人を配偶者にすることがほとんどかと思いますが、事実婚の場合には認められないことが多くなります。

 

事実婚と法律婚の生命保険・遺産相続の違い
項目 法律婚(結婚) 事実婚
生命保険の受取人 保険金の受取人を配偶者にすることができる 認められないことが多くなる、保険によっては定められた規定をクリアしていれば受け取り可能であるケースもあるが、さほど多くはない
遺産相続 配偶者として遺産相続ができる(法定相続分は1/2) 遺産相続できません、遺言書を作成していない場合、パートナーは遺産を相続できない
対策 特に必要ない 遺言書を作成する、生命保険の受取人を指定する(可能な場合)

 

保険によっては、定められた規定をクリアしていれば事実婚であっても受け取り可能であるケースがありますが、さほど多くはないでしょう。また、遺産相続についても同じく事実婚の場合には遺産相続できません。遺言書を作成していない場合、パートナーは遺産を相続できないため、これは非常に大きなデメリットと言えるでしょう。ただし、遺言書を作成することで、この問題をある程度解決することは可能です。

 

 

まとめ

今回は、「事実婚と法律婚との違いやメリット・デメリット」について解説してきました。

 

事実婚のメリット・デメリットまとめ

【メリット(3つ)】

✓ 夫婦別姓で暮らせる(精神的負担の軽減、手続きの負担がない、離婚時のリスク回避、男女平等の観点)

✓ パートナー関係を解消しても戸籍上は離婚にならない(離婚歴が残らない、社会的な偏見を受けにくい)

✓ パートナーの親族との距離を保てる(親族との関係を維持する必要がなく、精神的負担が少ない)

【デメリット(4つ)】

✗ 夫婦関係である証明がない(医療同意書へのサイン、医師からの症状説明、遺体の引き取りができない)

✗ 法律上父親に親権がない(非嫡出子、親権は母親のみ、養育費の請求ができない)

✗ 配偶者特別控除など税金面での優遇措置が受けられない(配偶者控除、配偶者特別控除が受けられない)

✗ 生命保険や遺産相続が難しくなる(生命保険の受取人、遺産相続ができない、遺言書の作成が必要)

 

事実婚は、「夫婦別姓で暮らせる」「パートナー関係を解消しても戸籍上は離婚にならない」「パートナーの親族との距離を保てる」といったメリットがある一方で、いくつものデメリットがあるのも確かです。それらのデメリットを良く理解し、それらを2人が受け入れることができるのならば、事実婚という選択をするのも悪くはないはずです。

 

現行の結婚制度は時代遅れですが、当然ライフスタイルの変化に合わせて制度も変わっていくと考えられるので、それまで待つというのも手です(日本は変化への対応が遅いのでかなり厳しいとは思います)。もしも事実婚の形を希望するならば、これらのメリットデメリットを2人でしっかりと話し合い、確認した上で決断するようにしましょう。特に、子どもがいる場合や、緊急時の対応、税金面での負担、遺産相続などについては、事前に十分に検討し、必要に応じて遺言書の作成などの対策を講じることをおすすめします。