本当の底辺は?本当のエッセンシャルワーカーとは?「信仰」ではなく「客観的データ」で考えろ

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ところで「農業」ってどう思いますか?

 

日本の食事を支えてくれているエッセンシャルワーカーだと思いませんか?

日本の農家の大半は、高齢者が経営する零細農家であり、これから農家の減少や後継者不足が問題視されています。

そんな中で零細農家を営む高齢者は、作物価格の低下・農具の値上がりに苦しみ、年金をもらいながら何とか暮らしています。かわいそうだと思いませんか?救わなければ日本の食の未来がヤバいと思いませんか?農家を馬鹿にするのなんて許せないですよね?

 

 

「零細農家の高齢者は日本を支えている!」「零細農家の高齢者を馬鹿にするな!」←このように思ったアナタ。馬鹿はお前だ!

以下を見ても同じ事が言えますか?

農業の事実

・農家従事者は136万人で平均年齢が67.8歳

・農家107万戸のうち8割が「売上500万円以下の零細農家」だが、これらの総売上を合計しても全農業産出額の13%

・5000万円以上売り上げている農家が全農業産出額の40%を超えている。上位1割の大農家・テック農家が全農業産出の8割を生産している。

・高齢者の零細農家は伝統的な農業を科学的根拠の無い慣習でやっていて生産性が低い。中規模以上の農家は科学的知見を取り入れITやAIも使った高度な管理を行っており生産性が高い。

・高齢者の零細農家が土地を占有してるせいで、日本の農業の集約化・DX化・イノベーションが進んでいない。

【おすすめの参考文献】:農家はもっと減っていい 農業の「常識」はウソだらけ

 

実際は、日本の食を支えているのは、中規模以上の農家であり、このような分野に参戦する新規就農者や企業こそが、本当に日本に必要とされるエッセンシャルワーカーです。

一方、零細農家の高齢者は生産性が低く、農水省の政策や農協による仕組みで公金で補助されている上に、日本の農業の効率化・合理化の足を引っ張る行動ばかりしています。農業産出額的には彼らがいなくなっても日本は全く困りませんし、むしろ変化やイノベーションを妨げる害悪なんですよ。知ってましたか?

 

このような勘違いが発生してしまう原因は「思考停止」です。「信仰」「思い込み」で判断してしまい「客観的データ」で論理思考していないからです。

もともと日本は農業を拡大するために小作人や百姓を積極的に支援して増やしてきました。現在、高齢者の零細農家が多いのはその名残で、改正農地法が改正されたのは2009年と割と最近なんです。そして我々は「食や農家に感謝する」という文化を子供に代々伝えて育ってきました(給食で合掌して「いただきます」と言う等)。言うなれば、我々は幼少期から「農業信仰」を無意識に刷り込まれているわけです。

またメディアで見る「農業する高齢者の姿」「苦労している農家の姿」といった弱者性プロパガンダをすることで、農家に共感する感情が生まれてしまいます。このようなくだらない「感情論」や「信仰」により誤ったストーリーを脳内ででっち上げてしまい、客観的なデータや事実に則した思考ができなくなってしまうのです。

 

 

底辺の職業ランキングも農業の話と同様なのです。「底辺と虐げられるエッセンシャルワーカーは守らないといけない!」と誤った「信仰」に走ることが無いように注意が必要です。農業と同じ失敗を繰り返すことになってしまいます。

その職業が国を支えるために必要なのかどうかは社会的情勢やテクノロジーの進化で変化します。今のエッセンシャルワーカーが来年もエッセンシャルワーカーであるとは限りません。

我々がすべきことは、信仰ではなく「具体的・現実的対応」と「必要性の客観的評価」です。

社会を支えるエッセンシャルワーカーには敬意を示すのではなく、具体的・現実的な報酬アップや待遇改善で、職業人気度を高めるべきです。同時に最新のテクノロジーを勉強しつづけ、ITや人工知能による代替・効率化・合理化ができないかどうか常にチェックの目を光らせ、社会をアップデートしていく意識が必要になります。

 

 

底辺職業ランキングのブルーカラー職は人工知能やIoTで代替できるのか?

 

 

 

最後に「底辺の仕事」とされたブルーカラー職がAIに置き換えられるのかどうかという話をしておきます。

SNSでの一般市民の投稿を見て思うのですが、「AIで何ができるのか」「現在AIがどのような方向に研究されて進化していっているのか」を理解できてない人が多くて驚きます。ちゃんと技術動向を勉強してください。

なお、前述したとおり、社会的情勢やテクノロジーの進化で変化します。現時点の考察を書きますが、技術の変化が激しい昨今ですので、来年には状況が変わっている可能性もあります。ご了承ください。

 

①土木・建設作業員

人工知能への代替は難しいです。

建設や土木のように作業する場所や工程が案件毎に変わってくるような仕事の完全AI化・完全IT化は難しいです。これは機械化や人工知能が苦手とする部分で、細かい判断を柔軟にできる人間の脳と手作業が生きてくる領域です。自動化が実現してもかなり先になると思います(我々が生きている間には実現しない)。機材がAI技術によって進化することはあると思いますが、当面は人が作業するという部分は変わらないと思います。

2055年に建設工事のほぼ完全無人化が実現するという話もありますが、技術的課題も多く不透明ですし、2055年段階でも建設の自動化は一部のみ(型が決まったプレハブ工法等)に限られるのではないかと思います。

土木・建設作業員の人手不足は日本の将来を考えると一番ボトルネックになる部分だと思います。大幅に賃金や待遇を上げて職業としての魅力を増やすべきです。

 

②警備スタッフ

IoT技術により、それなりの部分が代替可能です。

既にセンサー技術やドローンによる点検や警備ロボットなどが多数出てきています。今後50年でかなりの機械化・AI化が進む分野だと思います。

IoT機器による警備の遠隔化やAI自動化が進み警備の仕事は減るでしょう。必要なのは、いざという時のために駆けつける人間と、IT機材を扱って遠隔広域監視を出来る人材となり、警備スタッフの業務の中身も変わってくると思います。日本はもともと犯罪が少ないですし今後50年で地方の廃棄・都心のスマートシティ化が進むので、警備員需要は加速度的に減っていくと思います。

米国の警察では「巡回型AI警備ロボットが銃を保持し犯人を射殺することを許可するか?」というのが議論になっています。このあたりの法律面も含め今後50年で変革が進むでしょう。

 

③工場作業員、④倉庫作業員

かなりの部分が代替可能です。

既に工場ではライン無人化、品質検査へのAI導入が進んでいます。そもそも最近は製品開発の段階で無人化工場での生産を意識して商品設計します。「スマート工場」などで検索するとたくさんヒットします。同様に物流倉庫自動化も進んでおり、無人搬送ロボット・デジタルピッキングなどが出てきています。積み下ろし・棚入れ・ピッキングの一部がまだAIでの対応が難しい部分がありますが、今後改善されていくでしょう。

ただし、これらは現在のところ最新の工場のみです。新しい自動化工場は建設や設備入れ替えにコストがかかるので、古い工場では未だに作業員による作業を必要としています。これからの日本では、工場老朽化での建て替え、地方の中小製造業の淘汰、都心のスマートシティ化の進行に伴い、今後50年で作業員の需要は加速度的に減っていくでしょう。

一方、特殊な技能を持つ技術者、AIやIoTを扱うエンジニア、新製品を生み出す研究者の需要は減りません。淘汰されるのは単純作業を行う作業員のみです。

 

⑤コンビニ店員、⑨飲食店スタッフ

かなりの部分が代替可能です。

無人店舗、セルフレジ、配膳ロボットなど、既に自動化が進みつつある店舗を目にしているはずです。今後50年でかなりの機械化・AI化が進む分野だと思います。

品出しについてもAI陳列ロボット利用が昨年から進んでいますし、計量・調理・洗浄などの厨房自動化の検討も始まっています。調理の完全自動化はまだ事例が少ないですが、今後進んでいくの確実でしょう。また、トレーニングジムchocoZAPのフレンドリー会員のように、店舗管理のためにお客さんを働かせてスタッフを削減するビジネスモデルも今後増えるでしょう(自動化というよりセルフ化)。企業で新しい事業を考える上で店舗スタッフを極限まで減らしコスト削減することは当たり前の事になってきています。

今後50年で、個人店や中小店舗が日本の低迷・地方過疎化・都心集中により競争に負けて淘汰されていくのが確実です。大手チェーンの寡占が進むに伴って店舗自動化も加速していくことでしょう。

 

⑥清掃スタッフ

一部が代替可能です。

床清掃ロボット、窓清掃ロボット、トイレ清掃ロボットなど様々な製品が出てきており、今後も進化していくと思います。

ただし、全ての場所に対応する清掃ロボットが揃うのは難しいと思います。工場・倉庫・コンビニ・店舗等の決まった箱モノの中で自動化を進める事はロボット技術は得意としているのですが、細々した箇所に臨機応変に対応することは難しいのです。

オフィスビルの清掃スタッフ・客室清掃等はある程度自動化でスタッフ削減されていくと思いますが、完全に削減とはなりません。また、例えば、個人宅の細々した物が置いてある部屋を掃除する家政婦や、遺体を片付ける特殊清掃員などは、これからも人がやることになると思います。

意外かもしれませんが、清掃スタッフのAI代替は限定的になると思います。

 

⑦トラック運転手

それなりの部分が代替可能です。

業務用トラックは車体が大きいため、一般の乗用車よりも自動運転の実用化が遅れていますが、こちらも今後50年で進むでしょう。

そもそも少子高齢化社会になり、地方や田舎が放棄され都心のスマートシティ化が進むので、物を運ぶ範囲自体が今後50年で狭くなっていくと推測されます。

ただし、自動運転が普及するのは、目先では長距離輸送に限ることになるでしょう。物流拠点から荷物を個人宅に運ぶのは、まだしばらくはこれまでどおり人の仕事となるでしょう。

日本郵便がドローン配送・走行型配送ロボットの実用化を研究しており、数年以内に山間部や過疎地なら自動配送は実現すると思います。ただし、例えばタワマンのベランダにドローンで運ぶのは容易ではありませんので、マンションに運ぶ場合は屋上に配送受取の設備が必要になります。配送の完全自動化は、マンション等の住宅側の設備対応や都市計画も含めて改善しないと難しいので実現にはまだ時間がかかりそうです。

 

⑧ゴミ収集スタッフ

人工知能への代替は難しいです。

ゴミ収集員に追走する自動運転ゴミ収集車、ゴミ収集所まで自走するゴミ箱、ドローンでゴミ箱を発見して自動走行車で拾いに行く等、様々な研究がされていますが、完全自動化できる目途はまだ見えてないです。ごみ収集車は自動運転になりますが、ゴミを回収するのはまだしばらく人の手になるでしょう。

各家庭で出るゴミを臨機応変に拾わないといけなかったりゴミ分別の観点も含めると、意外かもしれませんがゴミ収集スタッフの人工知能代替は難易度が高く、実現にはまだ時間がかかりそうです。

もっとダイナミックな変革が必要になります。現在のゴミ収集方式を辞めて自動化しやすい方法に変える等(海外で利用されているスマートゴミ箱への統一や大型コンテナ式の導入など)、技術だけでなく「どうやってゴミを出すか?」という運用を含めたイノベーションが必要になるでしょう。

 

⑩介護士、⑪保育士

一部が代替可能です。

これまで挙げてきた職種と同様、様々な自動化が研究されていますが、あくまでスタッフの業務をサポートする形のものが多いです。今後も技術は進化していくと思われますが、完全自動化は難しいのではないかと思います。

当方は、医療・保育・介護分野のIT・人工知能技術についてはあまり詳しくないので、ひとまず「一部のみ代替」とさせていただきました。

 

⑫コールセンタースタッフ

かなりの部分が代替可能です。

チャットボット、自動応答システム、RPA活用、音声データ分析など現在でもかなりの自動化が進んできているのがコールセンタースタッフです。

ボイスボット(AI音声自動応答サービス)についてはまだ発展途上ですが、今後50年で確実に発展していく領域ですので、コールセンタースタッフの需要は加速度的に減っていくでしょう。

ただし、営業などのアウトバウンド活動を行っているコールセンタースタッフ(アポインター)は完全自動化が難しいので、一部のみの代替となるでしょう。

 

 

以上です。

大切なことは人工知能に仕事を奪われたからといって、「俺達の仕事を奪うな!人工知能ハンターイ!」と叫ぶような「恥ずかしい底辺のクズ」にならないように注意することです。日本の未来の足を引っ張るだけのお荷物は社会に必要ありません。

本記事ではブルーカラー底辺職について触れましたが、当然ながらホワイトカラーの職種はもっと大きな代替が起こります。ブルーカラーもホワイトカラーも常にAIやテクノロジーの動向をチェックし、人工知能が進化し続ける世の中で自身のスキルや考え方をアップデートしつづける意欲と、柔軟に変化に対応していく意識が重要となります。

 

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