同じ病院、同じ診察、同じ薬。あなたは3割払い、隣の老人は1割で済む。これを不公平と感じないなら、感覚が壊れている。
しかも使う量が違う。75歳以上の一人当たり年間医療費は約90〜95万円、15〜44歳は約16万円。約6倍使って、負担は3分の1。
掛け算すればすぐ分かる。年間90万円の医療を1割負担で使えば本人の支出は9万円。しかも高額療養費制度の上限があるので、実際にはもっと少ない。残る81万円以上を、税金と現役世代の保険料が埋めている。
「高齢者は年金生活で収入が少ないから」——それは所得で判定すればいい話だ。現行制度は所得ではなく年齢で優遇している。資産を数千万円持っていても、年齢さえ満たせば1割になる。
国際的にも異常だ。アメリカのメディケアは20%負担、ドイツは10〜20%、韓国は外来20〜60%。日本の原則1割はOECD中でも最低水準である。
この記事では、1割負担がどれだけ制度を歪めているか、2〜3割に引き上げれば何が変わるかを、金額ベースで具体的に示す。
もう後期高齢者医療制度、廃止でよくない?
— 夜勤投資家 (@ZS1144649) September 2, 2026
医療を多く使う人ほど負担が軽くなる仕組みって、正直ちょっと違和感しかない。
年齢に関係なく、基本3割負担で良いと思う。
📊 75歳以上:原則1割(2022年改革で一部2割に拡大)
📊 現役世代:3割
📊 一人当たり年間医療費:75歳以上 約90〜95万円 / 15〜44歳 約16万円(約6倍)
📊 後期高齢者医療の財源に占める本人保険料:10%
📊 現役世代からの支援金:財源の40%(年間約7.5兆円)
医療にも需要曲線はある。価格が下がれば消費量は増える。1割負担は、実質的に医療サービスを70%オフで売っているのと同じだ。
結果が、日本の外来受診回数がOECD平均の約2倍という数字である。必要な受診まで抑制しろとは言わない。だが「安いから行っておく」を放置する理由もない。
経済学でいうモラルハザードの典型だ。サービスを使う人(高齢者)と、その費用を負担する人(現役世代・納税者)が別人になっている。
コストを負担しない主体は、コストを気にしない。当然だ。これは高齢者の人格の問題ではなく、制度設計の初歩的な失敗である。
現行制度は所得に応じた区分こそあるものの、基本の枠組みは年齢だ。金融資産を数千万円持っていても、年金収入が低ければ低所得者として扱われる。
これは制度の設計思想の問題だ。本来「困窮しているか」で判定すべきものを、「歳を取っているか」で判定している。だから資産のある高齢者まで一律に優遇される。
批判だけでは意味がないので、引き上げた場合の効果を整理する。
| 項目 | 効果 |
|---|---|
| 後期高齢者支援金の削減 | 年間2〜3兆円規模の削減が可能 |
| 現役世代の保険料負担 | 月5,000〜10,000円の軽減 |
| 受診行動の適正化 | 「安いから行く」受診の抑制。真に必要な医療への資源集中 |
| 薬剤費 | 多剤処方の見直しが進みやすくなる |
| 制度の持続可能性 | 2040年の107兆円問題の緩和に直接寄与 |
※削減規模は前提条件により変動する概算。
月5,000〜10,000円。年間なら6〜12万円。これがあなたの手取りに戻ってくる金額の目安だ。
必ず出る反論だ。だが3割にしても高額療養費制度は残る。月の自己負担には上限がかかるので、青天井にはならない。
そして本当に困窮している高齢者には、資産も含めた所得判定で1割以下の区分を残せばいい。主張しているのは「年齢による一律優遇をやめろ」であって、「貧しい高齢者から取れ」ではない。
70歳以下は年収が170万円でも医療費は3割負担。
— ひろゆき (@hirox246) December 9, 2020
年収が低い人にとって医療費負担がきついのは年齢関係ないです。
現状は高齢者だけ優遇されてるので、75歳以上医療費の負担割合を上げるのは賛成。
選挙に不利でも押し通す菅首相を支持。 https://t.co/s9woasNOVG
| 国 | 高齢者の自己負担 | 備考 |
|---|---|---|
| 日本 | 原則1割 | OECD中でも最低水準 |
| アメリカ | メディケアでも20%負担(限度額なし) | 民間保険での上乗せが前提 |
| ドイツ | 法定疾病保険で10〜20%程度 | 高齢者本人の保険料負担も相応にある |
| 韓国 | 外来20〜60%(入院10〜20%) | 日本より明確に重い |
| スウェーデン | 受診1回あたり定額(約1,500〜2,000円) | 年間上限つきの定額制 |
※制度の前提が国ごとに異なるため単純比較はできないが、日本の高齢者負担が国際的に軽い部類である点は共通した指摘。
どの国も「高齢者だから無料に近くする」という発想を取っていない。取っているのは日本だけだ。
そして日本だけが、その差額を現役世代の保険料という見えにくい形で埋めている。消費税なら大騒ぎになる規模の負担が、給与明細の一行に隠されている。
① 年齢ではなく所得と資産で負担割合を決める——75歳という線引きをやめる
② 原則2〜3割へ引き上げ、困窮層は据え置き——支援金を年2〜3兆円削減
③ 金融資産を負担判定に組み込む——マイナンバーとの連携で技術的には可能
④ 削減できた分を現役世代の保険料引き下げに充てる——単なる財政再建で終わらせない
④が肝心だ。削っただけで他に回されたら意味がない。現役世代の保険料率を下げるところまでを要求に含めるべきである。
そして制度が動くまでの間、自分の負担は自分で削るしかない。
⇒社会保険料をブッちぎりで下げる5つの方法【マイクロ法人・iDeCo・合法】
2022年10月、後期高齢者の窓口負担に2割の区分が新設された。報道は「ついに負担引き上げ」と伝えたが、中身を見れば骨抜きだ。
2割負担の対象は、一定以上の所得がある後期高齢者に限られる。後期高齢者全体のうち対象になったのは2割程度にとどまる。残りの大多数は1割のままだ。
しかも導入時には配慮措置が設けられ、外来の負担増加額に上限(月3,000円)が3年間かけられた。2割に上げると言いながら、実際の増加は月3,000円まで。
これでは行動は変わらない。価格シグナルとして機能しない水準に、意図的に抑え込まれている。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 一定以上の所得がある後期高齢者のみ(全体の約2割) |
| 残りの約8割 | 1割のまま据え置き |
| 配慮措置 | 外来の負担増を月3,000円までに抑制(3年間) |
| 現役世代の保険料軽減効果 | 年間数百億円規模にとどまる |
| 本来必要な規模 | 原則2〜3割化なら年2〜3兆円の削減 |
数百億円と数兆円では、桁が2つ違う。「改革をやった」というアリバイ作りにはなったが、財政効果としては誤差の範囲だ。
答えはいつもと同じだ。投票率70〜75%の3,800万人を敵に回す政策は、選挙で負ける。だから「やったふり」で終わる。
本気で財政効果を出すなら、対象を全体に広げ、配慮措置を設けず、資産も判定に含める必要がある。それができない理由は財政ではなく政治だ。
窓口負担率だけを見ていると見落とすものがある。高額療養費制度だ。
高額療養費制度は、月の自己負担が一定額を超えた分を払い戻す仕組みだ。所得区分によって上限額が決まる。
ここに問題がある。住民税非課税世帯の区分では、月8,000円程度で頭打ちになるケースがある。つまり窓口負担を3割に上げても、月8,000円を超えた分は戻ってくる。
年間90万円の医療を使っても、本人の実負担は年10万円弱で済む計算だ。負担率の議論だけでは、この構造は変わらない。
高額療養費の区分は所得で決まる。資産は見ない。
したがって金融資産が数千万円あっても、年金収入が低ければ最も有利な区分に入る。一方、働いて年収500万円を稼ぐ現役世代は、貯金がゼロでも高い区分に置かれる。
窓口負担率の引き上げだけでは足りない。①負担率 ②高額療養費の上限 ③資産の判定への算入——この3つを同時に動かさなければ、財政効果は出ない。
技術的には難しくない。預貯金口座へのマイナンバー付番は既に制度として存在する。できない理由は政治だけだ。
⇒高齢者が優遇されすぎておかしい。恵まれすぎた世代の実態を数字で並べる
後期高齢者の1割負担は、使う量が6倍の層に3分の1の価格を提示する制度だ。2022年の2割負担導入は対象も効果も限定的で、構造は変わっていない。
75歳以上の一人当たり医療費は約90〜95万円、現役世代の約6倍
窓口負担は高齢者1割/現役3割——使う量が多い側ほど単価が安い
2022年の2割負担は対象が全体の約2割、月3,000円の配慮措置つきで骨抜き
高額療養費の上限(月8,000円程度の区分)が負担増を吸収してしまう
区分は所得のみで判定し資産を見ない——数千万円あっても優遇対象
是正には①負担率 ②上限額 ③資産の算入の3点セットが必要
主張は「貧しい高齢者から取れ」ではない。「年齢による一律優遇をやめ、所得と資産で判定しろ」だ。諸外国が既にやっていることであり、反論の余地は乏しい。
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